平成28年度調査研究報告

 

1、はじめに

 平成28年度は、平成28616日に群馬県烏川流域森林組合管内の民有林を市川平治組合長の案内で、吉田理事長と杉浦常務理事が調査した。

 調査の目的は、昨今の木材価格の動向では、所有規模の如何を問わず民有林経営は厳しい。この様な状況の中で、組合員は林業経営にどう取り組んでいるのか、また、当地区の民有林所有者に対し森林組合はどう対処しているのか、その成果を高俣山林の経営管理に参考にするためである。

 

2、当地の概況

 烏川流域森林組合は、群馬県の中央部よりやや北西に位置し、森林面積は18,963ha(表・1)でその内訳は民有林15,596ha82.2%)、国有林3,367ha17.8%)で民有林が多い。民有林の人工林は8,711ha55.9%)で天然林(広葉樹林)が6,885ha44.1%)で人工林がやや多い。また、正組合員数は1,885人であるから、一組合員当たり平均約8haである。

 

3、原木市場の市況

 原木市場の市況を、群馬県と山口県の例を次に示す。

1)群馬県森林組合連合会

 最近の原木市場値を群馬県森林組合連合会の10月上旬の木材市況(表・2)を見ると、次のとおりである。

表・2

群馬県森林組合連合会木材市況

 

 

平成28103日施行

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹種

長級

径級

高値

平均値

前回比

出品量

販売量

落札率

 

p

/

/

/

 

3.00

1113

6,800

6,200

-900

16.062

16.062

100

 

 

1618

11,420

11,000

-200

57.716

57.716

100

 

 

2028

11,600

11,000

-900

73.142

73.142

100

 

3.65

20〜上

9,500

8,300

0

0

0

---

4.00

1013

7,000

6,700

200

66.05

66.05

100

 

 

1620

9,700

8,000

-1,200

4.83

4.728

97.9

 

2228

9,900

9,700

400

43.794

43.794

100

 

 

30〜上

10,100

9,500

300

43.706

47.706

109.2

 

6.00

1628

13,800

13,800

0

0

0

---

 

その他のスギ

 

 

 

87.777

83.777

95.4

 

合計

 

 

 

 

393.077

392.975

100

 

3.00

1622

10,600

10,600

700

35.804

35.804

100

 

4.00

1013

6,300

6,300

100

41.49

41.49

100

 

1620

11,100

11,100

-900

7.39

6.88

93.1

 

2228

10,200

10,200

-1,800

1.118

1.118

100

 

30〜上

10,800

10,800

0

0

0

---

 

6.00

1620

15,000

---

---

0

0

---

 

その他のヒノキ

 

 

 

51.505

51.505

100

 

合計

 

 

 

 

137.307

136.797

99.6

4.00

1828

6,000

5,500

---

0

0

---

 

30〜上

6,000

5,500

0

0

0

---

その他アカマツ

 

 

 

---

---

---

合計

 

 

 

 

0

0

---

 

4.00

713

8,000

6,000

0

4.79

0.52

10.9

 

1416

5,000

5,000

0

6.834

6.834

100

 

1828

11,000

11,000

-200

18.342

18.342

100

 

30〜上

11,000

11,000

-500

3.53

3.53

100

その他のカラマツ

 

 

 

0.125

0.114

91.2

 

合計

 

 

 

 

33.621

29.34

87.3

 

その他の樹種

 

 

 

2.791

2.791

100

 

総合計

 

 

 

 

566.796

561.903

99.1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秋晴れの中で行われた今回の市は、急激な値上がりにより入札を控え応札枚数が減りスギ3.0m材を

中心に若干値を下げたが、いまだスギ3.04.0m材逼迫状態は続いている。ヒノキ材は、小径材が多く

あまり質が良くなく値が上がって来ない。入荷量は国有材の入荷が順調に増え始めているが、まだまだ

入荷が少なく特に良材が少ないので引続き入荷を希望していた。

 

 

 

 

 

4、烏川流域森林組合の指導

 森林組合員は、上記のような木材市況であるが、積極的に主伐することなく、補助金の対象になる施業すなわち、保育間伐を実施している。また、特産も特に見られず林地の売買行為も見られない。

 そこで市川森林組合長は、「木材は輸入できても森林は輸入できない」ことを肝に銘じて健全な森林を育てることを期待し、さらに、ドイツの神学者マルティン・ルターの「たとえ明日、世界が滅亡しようとも、今日、私はリンゴの木を植える」と言う言葉を説き、祖先が植林した森林に感謝しつつ、私たちも、未来のために森林を育成して行くために誇りと希望を持って汗を流したいと説いている。

 

5、おわりに

 民有林の経営について、各地を見ても特に新たな事例は見られないが、市川組合長のように森林の存在を理解し、特産を導入し、一方で林産物の生産だけでなく消費者の立場から検討し、林産物の消費展開を図るべきと考える。

 


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